Quadrifolium's blog

元海外赴任サラリーマンの独り言です。

人生の荒波

7~9月は仕事が忙しく,それと並行して転職活動も多忙を極めたので本当に疲れ切った。また,ノートPCの画面が急に壊れたため修理に出すというイレギュラーなイベントもあり,波乱万丈だった。結局そっちは診断料5千円,修理費2万5千円くらいですんなり直してもらえたのでよかったけど。

 

某業界への転職活動では,書類選考の通過率が43%だった。書類で落とされた某求人のお祈りメールには1人の採用募集に対して60人の応募があったと書かれていた。私の過去の伝聞に照らしても,大体他の求人も似たような倍率と思われる。つまり50~100倍の難関であった。(書類選考を突破するだけでも多分20倍を超える倍率のはず。)なお過去には同じ業界で1人の募集に対して120人以上の応募があったという話を採用担当者から直接聞いたことがある。

結局,書類で通ったうちの2つで無事に内定が出て,そのうち1つに受諾の返事をして私の転職活動は終わった。他の求人の面接にも呼ばれていたのでそれらは丁重に辞退した。ちなみに受諾前には予定年収についても確認し,こちらが受け入れられる額であることを確認した。働く場所は実家にまずまず近いところなので満足だ。思えば東京にもだいぶ長く住んだが,それもいよいよ終わりが来ると思うと感慨深いものがある。

 

転職活動ではあちこち地方に面接に出向くのが非常に面倒だった。電車と新幹線を乗り継いだり,辺鄙な場所の空港からタクシーに乗ったりと,高くついた。地方のタクシーというのは妙な住み分けルールがあるようで,スマホで適当に検索して出てきたローカルなタクシーに電話して「一台配車お願いします」と伝えても「あーその場所はちょっとねえ,うちからは遠いんでねえ,別の○○タクシーさんていうところに電話してもらった方がいいと思うんですよねえ」と言われて,電話番号まで教えられた。そういうことが2回あった。せっかく客が乗りたいと言って電話しているのに嫌な顔をするというのはよく理解できないのだが。遠いといっても15分くらいである。たぶんタクシー会社間で不文律みたいなテリトリーの合意があるのではないか。どうも日本のこういう田舎のローカルルールみたいなのは好きでない。金融もそうで,地方には信用金庫や地方銀行がたくさん存在していて業務エリアも業務内容もかぶっているのに一向に合併・統合が進まない。どうもお互いに相手のシマを侵害しないよう住み分けているらしい。なので海外のように合併してシステム統合して人件費減らして効率化して競争力アップ,という流れにまったくならない。どうも日本は八百万の神の精神が根付きすぎているような気がする。権威がたくさん存在してお互いに住み分けているというか。日本の企業というのは現場からのボトムアップが得意で,各部署の現場にレジェンドみたいな凄腕の人たちがいて,それらの人がばらばらに各部署で業務を改善し続けるから結局は会社全体としての最適化ができないという状況になる。まるで中央アジアの部族社会のようだ。海外はもっとトップダウンで効率化・最適化のプランを練って下に投げるけど,日本のトップは現場に対して強くモノが言えずリーダーシップに欠ける人が多いような気がする。文化の違いなのでたぶん今後もどうしようもないんだろう。

 

来年度から新しい仕事になると思うと今現在の業務に対するやる気がどんどん下がってきて,困る。給料をもらっている以上は義務はこなすつもりだけど,相変わらず「社内調整のため,絵にかいた餅のような中身のうすっぺらい提案書を大量にパワーポイントで作って社内プレゼンに向けて何度も何度も修正とバージョンアップを繰り返す」という,社外の顧客でなく社内の上役の目ばかりを気にした無意味なオシゴトがたっぷりと待ち構えており,心を病みそうになる。大企業は社内向けの仕事があまりにも重すぎる。社内で来年度の予算を獲得するために死ぬほど苦労しないといけないし,獲得したとしても3年の予定のプロジェクトが急に1年で終了になることもよく起こり,本当に研究者にとってはまるで乱高下する飛行機に乗っているような不安定な職場である。まるで予定が立たない。

それに何か新しい企画を提案しても,大企業なのでそれに近いことをやっている部署・チームが必ず存在し,そことの住み分け交渉が極めて面倒なことになるのが常だ。要するに人が多すぎるのである。世間では人材不足とか言っているが,弊社では逆で,人が多すぎてお互いの仕事の範囲があまりにも重なっているので大量に無駄が発生しており,無駄を減らすよう交通整理する人がいない(というか一応いるけど疲弊してまともに仕事できていない)。

 

これは私が実際にやっている案件ではなく,たとえだが,例えば救急車の運用にAIを入れて救命活動を迅速化したいとしよう。すると,「ヘルスケアをやりたいAI研究部門」と「配車スケジュール管理ITシステムの開発経験があるシステム設計部門」と「AIをやりたいヘルスケア研究部門」と「官公庁・自治体向けビジネスの担当部門」と「スマートデジタル社会化ビジネスを推進している本社部門」の少なくとも5つの部署が火花を散らして戦うことになる。あほかいな。これら5つの部署のどれかが担当して他は手を引けばいいだけに見えるが,絶対にそうはならない。あくまで全部署が参加してお互いにうまく仕事を分担するにはどうすればよいかという方向に話が進み,その分担の範囲を合意するための話し合いを繰り返すだけで半年くらいの時間が費やされることになる。

 

私はこういうのが嫌だから転職するのだ。

 

心を病まないようちょこちょことスキマ時間を見つけては

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というゲームをプレイしていたんだけど,ようやくクリアした。

主人公は引きこもりの少女で,何というか全体に暗い話である。とにかく登場人物の数が少なく,生きている人間は全編を通じて3人しか登場しない。あとは現世に未練を残す死者ばかりが出てくる。ベストなエンディングを見るためには少なくとも3回異なるバッドエンディングを見る必要があり,そこはしんどいところだ。ただ戦闘はサクサク軽快で,必殺スキルの使い方も単純で分かりやすく,システム面はすごくよかった。悪かったのは敵のバリエーションの少なさ・・・。結局,ボス以外の通常モンスターは8種類しかなく,色違いで何度も出てくるだけなので,私は後半すっかり飽きてしまった。

声優はすごくよかった。やはり声優の演技はすごい。これは確かだ。このゲームの価値の半分は声優の力だと思う。

シナリオはすごくウェットな感じで,いかにも女の子の心理を掘り下げたという感じだったのできっとシナリオライターは女性だろうと思っていたが,エンドロールを見ていたら名前は男性だったのでとても驚いた。

全体としてこのゲームは名作と言えるだろう。一人を好む非社交的な性格の人におすすめ。