Quadrifolium's blog

元海外赴任サラリーマンの独り言です。

懊悩

オミクロン陽性者が乗っていた飛行機の乗客全員が濃厚接触者とされていたが,その定義を28日から変更し,陽性者の前後2列までのみ濃厚接触者とすることになったという厚生労働省の発表が報道されている。

そこで保健所に,現在隔離されている私にも定義の変更は及ぶのか,その場合は14日目を待たずに退所できるのかを問い合わせたところ,調べてもらった上で折り返し電話がかかってきた。「はい,ですので早めに退所されている方もいらっしゃいます。ただ,〇〇さんをお調べしたところ,座席が陽性者の前後1列でしたので,・・・難しいですね」

 

 

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もういや。

ずっとホテルの部屋にいるが,ここは本当に日本なのだろうか?実は私がそう思い込んでいるだけで,本当は私は一歩もカリフォルニアの自宅から出ておらず,ベッドの上で「日本に帰国したという夢」を見ているだけではないだろうか?すべての認識がゲシュタルト崩壊していく・・・

帰国そして隔離

日本に一時帰国した。

飛行機の中では書類が配られ,そこに滞在先や電話番号などを記入する。空港ではそれを提出したのち,厚労省指定のアプリをインストールしたりQRコードを見せたりとあれこれ面倒くさいステップがあり,最後にコロナの検査がある。手のひらに収まるくらいのプラスチックのテストチューブを渡されて,そこに唾液をそれなりの量出すように言われる。で,案内された場所まで頑張って空港内を数百メートル歩いていき,そこで番号を呼ばれるまで待機するように言われる。私はここで3時間半くらい待った。で,陰性になった人は小分けにバスに乗せられ,3日間の隔離先のホテルへと運ばれる。私の場合は空港から一時間くらいでホテルに着いた。で,裏口からホテル内に案内されるのだが,そもそもここはどこで何というホテルで,といった説明は何もなかった。ホテルの部屋はかなり狭く,机とベッドのすきまがあまりないので座ると圧迫感があり,とても仕事ができる環境ではなかった。シャンプー,コンディショナー,ボディソープ,バスタオル,ひげそり,歯ブラシは普通に置いてあった。食事は一日3回,ドアの前に置かれる(各部屋に館内放送が英語と日本語で流れる)ので,それをドアを開けて取り,ごみはドアの前に出しておく。朝はサンドイッチやバナナ,昼と夜は弁当で,置かれてすぐに取ればまあまあ温かかった。しかし私はサンドイッチ(日本特有の白いふわふわしたパンにマヨネーズソースでいっぱいのハム等が挟まれたもの)は嫌いなので憂鬱だった。そして1日目か2日目だかに残念な知らせがあり,私の乗ってきた飛行機にオミクロン陽性者がいたため乗客全員が濃厚接触者として14日間の療養施設での隔離が義務と電話で通知された。この時点で大晦日も元旦も家に帰れないことが確定し,がっくりきた。3日目(到着日は0日目扱い)に再びコロナの検査がある。早朝,唾液をチューブに入れて,それをビニール袋に入れてドアの前にマグネットで止めておくと担当者が回収していく。結果の電話が来たのは夕方で,陰性だったので荷物をまとめて降りていき,体温計などを返却。そしてハイヤーが来るのを待ち,それに乗って自分の実家のある地方自治体へと運ばれることになる。ホテルの裏口は迎えの家族やらハイヤーやらでとても混雑していた。

運ばれた先のホテルで11日間を過ごすわけだ(今ココ)。先のホテルよりも若干,スペースがあるが,アメリカ暮らしの基準からするとやはり狭い。そしてコインランドリーが使えないため,風呂で手洗いで洗濯しないといけないのが面倒だ。(入所するときに洗濯洗剤を5回分くらい渡される。)古いホテルであちこちガタが来ている。とりあえずwifiがなかなか高速なのはありがたいところだ。一日に3回,体温と酸素飽和度を測る必要があり,一日に3回看護師から部屋の電話にコールがかかってくるので報告しなければならない。そして2日に1回は唾液によるコロナ検査をしないといけない。さらに,スマホのアプリで一日に数回,現在地の位置情報を送るよう要求されるし,1日1回か2回くらいビデオ通話がかかってくるのでそれにも応答しないといけない。大変めんどうくさい。ビデオ通話は自動音声がほとんどで人からかかってくることは稀,とネットで読んでいたが,私の場合は初回は人で,それ以降は今のところ自動音声だ。

日用品は入所する際に渡された袋の中に小さい固形せっけん,使い捨てパッケージのシャンプー・リンス,ハンドソープなどが入っているが,それだけである。タオルはない。歯ブラシや歯磨き粉もない。私は入所する前に家族にホテルへ差し入れを持ってきてもらっており(ただし直接会うことはできない),その中にバスタオルや歯ブラシが入っていたので何とか助かったが,家族に持ってきてもらえない人はどうするのだろうか。なお滞在中の差し入れは不可とのことである。食事は1日3回,違う階にエレベータで移動し,そこのデスクに置いてある弁当を持って部屋に戻る。そのデスクのあるスペースに,ペットボトルのお茶や水,野菜ジュース,ビニール袋,インスタントコーヒー,トイレットペーパーなどが置いてあるので持って行ってよい。弁当は冷えており,毎日3食とも似たような和食なので飽きてくる。パンが食べたいし,お菓子も食べたいのだが・・・何がうれしくてクリスマスにこんな刑務所みたいな空間に籠ってないといけないのか,残念だ。せっかくアメリカから帰ってきたのに解放感が全然ない。仕事もちょっとは進めようと思うのだが,集中力が上がらず,困っている。

そもそも,なぜアメリカに戻るのか自分でもよくわからない。アメリカに戻ってもオフィスは閉鎖されているのでリモートワークだから,日本でやるのと変わりはない。時差があるかないかの違いだけだ。海外駐在の意味がわからん。

ぼちぼち

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[2112.02448] Emojich -- zero-shot emoji generation using Russian language: a technical report (arxiv.org)

ロシア語を入力するとそれに合わせた絵文字を自動生成してくれるAI「Emojich」の論文。ロシア人もなかなかやるでないの。

 

技術的な課題についてスマートな解決策を思いついたので,資料を用意して同僚らに頑張って説明したのだけど,理解してもらえなかったので疲労感だけが残った。うーん,企業の研究者というのは本当に抽象化の能力が低いなあ。たとえば赤色のビー玉が6つ,青色のビー玉が6つあるとして,この12個から5つ選ぶ場合の数は何通りか?という問題があるとすると,色なんて気にせずに計算すればすぐ答えは出る。でも「ビー玉の色の加工をずっとやってきたその道の専門家」に話すと「色を無視するなんてとんでもない!色を考慮して計算するべきだ。えっと,まず赤色が1個と青色が4個選ばれる場合の数は・・・」みたいに,すごく難しい解き方をしてしまう,みたいな感じだな。自分の知ってる細かい知識を重視しすぎて,「今の問題に適したレベルの抽象化をする」という考え方を受け入れられないので,いくら話しても平行線になる。もっと頭使えよ!とイラッとする。。

 

仕事でちょっと面倒なことに巻き込まれかけたので,自分に責任が降りかかってこないようにいろいろ動いた。とても疲れた。長い英語のメールも書いたし。相手に対して礼儀正しく,なおかつ自分の主張の正当性は誤解の余地なく伝える,というのはかなり精神力を消耗する。。これで誤解されたらもう相手の理解力に根本的な問題があるとしか言いようがない。

 

最近半月ぐらいは,寝ているとき以外ずっと臨戦態勢のような精神状態になっていて,リラックスできない。自律神経が参っている感じがする。仕事のことを考えただけで動悸がするし・・・。私は草食動物のようにまったり草を一人で食みながら静かに生きていければいいのに,どうして猿山の縄張り争いみたいなことに加わらないといけなくなったのか。つらい。どうしてこうなった。

 

血液検査

アメリカでの医療について体験をメモしておきたい。

8月に病院に予約を入れて遠隔診察をしてもらった。あらかじめ取り決めた時間になると医者からビデオ通話がスマホにかかってくるので顔を見せながら具合について説明。「とりあえずお薬は処方するけど3か月後に血液検査ですよ」と言われた。

それから3か月後の11月に,その病院へ電話して「血液検査を受けたいです」と言った。私としては病院へ実際に行って検査してもらうのだとばかり思っていたが,「クエストに予約して血液検査してください。その結果が出てからうちに予約して下さい」と言われた。クエストというのはアメリカおよび世界に展開している臨床検査サービス会社クエスト・ダイアグノスティクスのこと。病院の検査を代替する感じのビジネスらしい。店舗(というか検査所?)はこんな感じ↓。

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(これはネットで拾った画像である。)そういうわけで,ネットで近所のクエストの店舗を調べて,希望の日時を予約しようとしたのだが,かなり混んでいる。家からちょっと遠い店舗に何とか週末に予約を入れた。検査の当日,病院から私あてにメールで送られていた検査項目詳細のシートを印刷して現地に行くと,とくに受付のようなものはなく,ただ建物に入って狭いロビーの椅子に勝手に座って待つだけ。時間がくると名前を大声で呼びに来る。私の場合は,フェイスガードをつけた小柄なアジア人の女性だった。ついていくと検査ブースがいくつかあってその1つに案内される。そして健康保険やクレジットカードの情報をシステムに入力してもらう。それが済んだら採血。できれば左腕でやってもらおう・・・と思っていたら有無をいわさぬ感じであっという間に右腕から採血された。いつ検査結果が出るのか聞いたら「三日後」だと。

結果が出たら通知でも来るのかな~と思って適当に待っていたが何日経っても何の通知も来ない。それでクエストのウェブサイトに行ってみると,マイクエストというポータルがあり,そこにアカウントを作る必要がある。ということで名前や電話番号などなど個人情報を入力したのだが,ここで問題発生。ソーシャルセキュリティ番号の下4桁を入れて本人確認を完了しようとしてもエラーが出てしまい先に進めない。

やむなくカスタマーサポートにメールして事情を説明。何日後かにメールが返って来て,「今回の検査の日付,この検査をリクエストした医師の名前,医師の電話番号,自分のアカウントのID,自分のフルネーム,云々・・・」をメールで送るように言われたので,全部記載して返信。すると2日後に登録完了の知らせが来た。ログインして,最新の検査結果,というページを見ると,こないだの血液検査の結果が全部表示された。各項目の数値と正常範囲が並べて記載されており,高いものや低いものにはそういうメッセージが出ている。

それから病院に電話して,遠隔診察の予約をし,翌日のお昼に医者と会話。検査の数字はとくに問題なく,肝機能が春の人間ドックの数値よりだいぶよくなっており,脂肪肝が改善していると言われた。体重が減ったのが良かったようだ。

それにしても面倒くさかった。なんでもウェブ上でできるとはいえ初心者には敷居が高かった。また,遠隔診療というのは便利とは思うが,なんだかあまり「医者に診てもらった」という感じがしない・・・。何だかもやっとする。

 

ちなみにPhlebotomist Salary at Quest Diagnostics in California | Indeed.comによるとクエストの採血担当者の時給は20ドルくらいらしい。ファーストフードのスタッフの募集でも16ドルとか普通にあるので,20ドルはそれほど高いとは思えない。アメリカで生きていくのも大変だな。。

 

現場からは以上です。

Tooth decay

ショック。虫歯ができていた。

日本では定期的に歯科でクリーニングしてもらい,ここ4年くらいずっと虫歯ゼロだったのに。

アメリカに来てから甘いものを食べる頻度は激減した。歯みがき粉はアメリカで買ったものだが歯ブラシは日本から持ってきたものを使っているし,ふつうに丁寧に磨いているつもりだった。

しかし下あごの左側の歯の側面に虫歯を発見・・・。右利きの私にとっては磨きにくい場所であることは自覚していて,ちゃんと磨いているつもりだったが甘かったのだろうか。それとも歯磨き粉がよくないのか。わからんけど。。

うーん,近所の日本人の歯医者に予約を入れようとオンラインでリクエストフォームは送ったが,診察がいつになるか不安だ・・・。

くそう。渡米して精神的に余裕がなかったが,それが歯の磨き方に影響していたということなのだろうか。悔やまれる。

いやいや,ひょっとしてフッ素の有無か?日本から持ってきた花王の歯磨き粉を見るとフッ素が配合されてるがアメリカで買ったやつにはそういう記載はない。むむむ。フッ素ってすごく大事なんじゃないか?

日本文化

アメリカ人から見た日本の”奇妙な文化”が列挙されている。

Culture Shock: Life Rules in Japan That You Won’t Believe Are Really True (travelerdreams.com)

大体は当たっていると思うけど,中にはよくわからないものも。「我々は互いの仕事を柔軟に手伝いあうのが普通だが,日本人は人を無闇に手伝うとその人の仕事を奪ってしまうので失礼にあたる」というのは,逆なんじゃないだろうか?

 

カリフォルニアでもオミクロン株が出てしまったようだ。うーん。。。

米国で初のオミクロン株感染、カリフォルニア州で - WSJ

日本に帰国したときどうなるか(いずれ強制隔離もありうる?),そしてアメリカに再入国するときにどうなるか,事態の変化が激しすぎて今後がまったく予想もできないし,対策もできない。

インドみたいに,国民のほぼ全員がすでにコロナに感染した国の方が逆に安心してられるかもしれんな・・・。

治療薬も開発したことだし,ファイザーの株価は今後もさらに上がっていくのだろうか。コロナが登場したころに比べると60%も上げているが今後も期待できるだろう。私は株やってないから知らんけど。

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貧しい途上国は薬が買えないから人がたくさん死ぬ。まさに資本主義と人道主義の相克だが,こういうとき哲学者とか経済学者って黙ってるよな。今こそ日ごろの研究の成果でも一般社会に問えばいいのに。普段倫理とか人権とかをねちねち議論してるくせに本当の非常事態では沈黙するやつは信用ならん。

量子的

久々にぶっとんだ論文を発見したので貼っておく。ユーモアの量子論

[1703.04647] Toward a Quantum Theory of Humor (arxiv.org)

すでにFrontiers in Physicsというジャーナルに出版されている。

Frontiers | Toward a Quantum Theory of Humor | Physics (frontiersin.org)

ユーモアの認知科学を理解するためには古典的確率論では不十分で,量子力学的な状態ベクトルの重ね合わせが必要だと論じている。

著者らの所属先はちゃんとした大学だし,85人の被験者を使った実験も行っているのでそれなりに真剣な研究なのかもしれない・・・が,やっぱりちょっとヤバいんじゃないか?これを出版するジャーナルもなかなか勇気がある。Frontiersシリーズは査読がザルとか言われているが実際はどうなのか・・。