Quadrifolium's blog

元海外赴任サラリーマンの独り言です。

ふえぇぇ

やる気が出ない。だるい。眠い。ふにゃふにゃ。

 

研究開発を橋の設計と建築にたとえるなら。

世間が企業の研究職の仕事だと思っていること:橋のかけ方を改善し,新しい橋をかける。

実際に大企業の研究職がやらされがちなこと:新しい橋ができたと聞いたら,すぐとんでいって買い取り,舗装を徹底的に改善し,手すりをつけ,綺麗な色に塗装し,赤じゅうたんをひいてゴージャス感を出し,雨の日に備えてルーフを設置して,高い通行料をとる。そして他の橋に行って,自社の橋の広告をぺたぺたと貼りまくる。で,橋をかける能力のある大学研究者のところに行って資金提供し,新しい技術ができたら真っ先に自社に提供するように契約を結ぶ。

 

という感じかな。つまり「橋のかけ方も知らないけど橋の研究職やってます」という状況が,本当にありえるんだよね。怖いことに。誰かの作った橋をコピペして,あとは綺麗なじゅうたんを低予算でひくだけだから。本質的な橋の設計なんて知らなくてもできる仕事ばっかり降ってくる。

そもそも「研究開発部」という名前が間違っている。これを「トレンド技術コピー部」という名前にすると一番しっくりくる。なのに,何かプライドがあるのかしらないが,企業は「うちで研究開発やってます」という看板をあげたがるんだよね。

なので,本当に技術開発をしたい人は尖ったベンチャーに転職したり大学教授に転身していってしまう。また,研究とも言えないような表面的な研究をやってお茶を濁すくらいならきちんとビジネスを展開して社会にインパクトを与えたい,と本気で思う人は異動願いを出して研究開発から事業部門へと移っていってしまう。なので研究部門に残っている人は,最先端技術にもビジネスにも興味がない,目の虚ろな,ローンを抱えた無気力安定志向人間ばっかりになりがち。

 

これからは技術が高度化する一方でそれをブラックボックス的に使う人がますます増えていくんだろう。タクシー運転手は車の設計なんて知らないわけで,「車のことはわからないけどそれを操作してお客様に提供するサービスで食っていきます」という仕事なわけだ。で,今後もし自動運転が実用化されたら,運転技術すらも不要になり,「AIを搭載した車を買ってきてお客さんに行先を聞いてそれを車のシステムにインプットして後は運転席でぼーっとしてるだけ」になってしまうだろう。そうなると,「アメリカや中国のトップ企業やトップ大学で何千万も稼ぐエリートAI技術者」と「低収入でぎりぎりの生活を送るたくさんの日本のドライバー」に二極化してしまう。中間がすぽっといなくなってしまう。そうなるともうこの国はだめだろうな。こういう「中抜け」が,技術の進歩によって社会のあちこちで進んでいるような気がする。