元気が出ず,なかなかブログを書くことができなかった。
アメリカではトランプが当選し日本では自民党が惨敗しと社会では色々あったが,どうせ何も変わらないだろう。変わるとしたら物価が上がって税金も上がるという未来しか見えない。
穴の開いた風船がいくら空気を吹き込んでも膨らまないように,いくら自分のやる気を出そうとしても,やらねばならない最低限の仕事を期限ぎりぎりでこなすだけで手いっぱいで,全く前に進めない。
最近は週末の2日のうち1日は,ほぼずっとベッドに寝たきりで眠るでもなくぼーっと悩みを忘れるために目を閉じている。気分転換のために出かける気力すらない。読書もおっくうになった。気分転換のためにパソコンで映画を見ようとしたが,真ん中あたりで気力が尽きて最後まで見る前に挫折してしまった。興味が湧かないし集中力が続かない。「ベッドを出て近くのカフェに行こう」と思ってから実際にシャワーを浴びて身なりを整えて家を出るまでに3~4時間はかかる。昼頃には予定を立てるが,実際にカフェに着くときには夕方になっている。
この春に転職してから孤独で,役職上どうしても降ってくる義務こそあるが誰も私に興味がないので本当に砂漠の真ん中に一人でテントを張って生活しているような感じだ。私の仕事が誰の役に立つわけでもないから誰も私に期待してない。まあ前職のように半年ごとに変わる仕事に割り当てられてモラハラ上司のもとでねちっこく詰められるのと比べれば,ずっと良い状況だから,転職には後悔は全くしてないが,元気は出ない。
例えていうなら,ある料理人を想像してほしい。その人はレストランで,労働契約義務にしたがって毎日腕を振るってランチやディナーを提供するのだが,客たちはそのオシャレな内装のレストランに来るのが目的なので,料理に手をつけることなく店内の写真や自分たちの写真を撮って,そのまま帰ってしまう。だからその料理人が作った料理はほとんど全て残飯として料理人の目の前で,「生ごみ」として廃棄される。誰もよく味わって食べてくれる人はいない。これが毎日繰り返される。これは空しいが,とはいえ料理の手を抜きすぎると「まずい」と悪評が立つから,そこそこのレベル以上の料理を毎日作るしかない。でも全部,ゴミとして処理される。目の前で。
この料理人と今の私の心情はたぶんほぼ正確に同じだと思う。仕事内容の本質がぴったり一致している。過度なノルマを課してくる上司がいないという意味では,とてもいい仕事とも言えるのは間違いない。ただ,心にぐさっとくる毎日なのも事実だ。これは「あまり気にするな」と言われたら終わりの話だが,「気にしない」のには一定の才能が必要なのだ。たとえば部屋を整理せず清潔感のない人と一緒に暮らすのが「本当に耐えがたい」といって離婚する人もいれば,「もう慣れたよ」といって無難に暮らせる人もいるのと同じで,慣れるのにはある種の才能がいるのだ。
現在の職場の同僚には本当に無能な人やパワハラモラハラしまくって何人も辞めさせた「いわくつき」の人もいるが,それでもクビにはならず働いている。一方,この人と一緒に研究したいと思えるような尖った人,クリエイティブな人はちょっと見当たらない。
若いときは自分の能力を世に知らしめたいという気持ちもあるし将来のためにエライ人たちにアピールして人脈を確保したいとも考えるから,一生懸命,論文を書いたり学会発表をしたりするのだが,年をとるとモチベーションの持ち方がよくわからなくなってくる。政治家なんか見ていると若い時からずっと上昇志向が強いままで,60歳をすぎてもギラギラ人より上のポジションを得ることを目指し,70代でもまだ引退せず権力欲をみなぎらせる,という人がいる。企業のオーナー経営者なんかもそういうタイプがいる。本当に感心する。いわゆる大食いタレントが満腹中枢がぶっ壊れているのと同じで,そういう人たちは支配欲と権力欲の満腹中枢がぶっ壊れている。これも一種の才能であろう。何かやりたいことがあるから権力が欲しい,のではなくただ権力が欲しいのである。
ある学会に最近オンライン参加して久々に他の研究者の発表やらディスカッションやらを聞いたが,特に面白くもなかった。大学の先生たちは応用に繋がらないマニアックなテーマを「基礎研究こそ重要」と傲慢な態度で追求して発表し,一方で,企業からの参加者たちはアメリカで流行っている最新技術をちょこっと表面的にカスタマイズして日本企業に売るという「コバンザメ戦法」の話ばかり。とてもつまらない業界だ。
最新のITやAIの活用を謳うプレゼンを見ても,オンライン広告の出し方をより洗練させることでユーザーのクリック率が上がる,とか,広告デザインに生成AIを使うとか本当にクソみたいな成果発表が目につき,私はどうしても「しょうもない!」と思ってしまう。人類の英知であるコンピュータサイエンスの粋を集めて作ったシステムの用途が広告ですか・・・,はあ,広告ですか。