Quadrifolium's blog

元海外赴任サラリーマンの独り言です。

NieR Automata 感想

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大ヒットゲームの「ニーア オートマタ」をルートABCDE全てクリアしたので感想(ネタばれあり)を書く。全世界で500万本も売れたという伝説的なRPGだけあって,キャラクターデザインも音楽もアクションも操作性もマップの細部の作りこみも凄かった。ただ,(やった人はわかると思うけど)シューティングゲームパートがださいし,とても退屈だった。それにシナリオがいまひとつ微妙だったので,全体として「傑作になりそこねた秀作」という表現が一番しっくりくる。

以下,シナリオに関して不満な点。

  • ゲーム中にサルトル孔子など有名な哲学者の名前や言葉がいろいろ思わせぶりに出てくるが,結局「人生って空しいよね。神であれ何であれ信じるものは自分で見つけるしかないよね。以上」ということ以外何も言っておらず,ださい。もっと中身のあるメッセージを入れて欲しかった。Eルートの最後に「未来は与えられるものではなく自らつかみとるもの」というセリフが出てくるが,これもどこかで聞いたようなよくあるセリフで,ださかった。
  • ゲームのラストに何のカタルシスもない。宇宙人が作ったロボットと人類が作ったアンドロイドが戦っています。という設定から物語がスタートするが,結局,ラストまで到達してもその状況は全く何も変わっておらず戦争は続いており,何がしたかったのかがわからない。
  • 敵のロボット軍団のボスっぽい立場で現れたアダムとイブが,実は特に深い意味もない存在で,主人公たちにさくっと倒されて終わりというのがアホっぽい。この2人は何がしたかったのか?しかもこの2人を倒せば敵が弱体化するので人類側の勝利につながるという話だったのに,倒してみると敵は全く弱体化しないどころかむしろ強くなっているというオチ。なぜ強くなっているかの説明も全くない。アダムとイブは本当に不要。
  • 9Sとタッグを組んでいた2Bが実は9Sを何度も粛正するための存在("2E")だったという設定は完全に蛇足と感じる。この設定がなくても全体のストーリーには何の影響もないし,ない方がきれいにまとまる。そもそも,最高機密を知りすぎてしまうくらい優秀なアンドロイドであれば何度も粛正したりせずにもっと別の利用の仕方があるはずで,2Bが果たす役割が無駄としか思えない。
  • A2がなぜ司令部を裏切ったのか,明確な説明が見られない。なのでA2に全然感情移入ができない。
  • ラストで9SとA2が「塔」の最上階で戦うが,この2人が戦わねばならない理由はぶっちゃけ何もないので,心を揺さぶるものがない。A2は別に9Sの敵ではないし。
  • ヨルハたちは機械生命体のコアを再利用して作られた存在だという事実がBルートで暴露されるが,その深い意味があまり伝わってこない。人類が作った本来のアンドロイドたちのAIと,ヨルハたちの意識を作っているAIとが,機能としてどのように異なるのかが全くわからない。そもそもヨルハ以外のアンドロイドがあまり登場しないし・・。人類の作ったAIの自我はこれこれだけど,ヨルハの自我はこれこれで,両者には実は深い違いがあります,みたいな描写があった方がよかったと思う。
  • アンドロイド側の首謀者たちが全く出てこないのが物語の見せ方として致命的。バンカーのヨルハ部隊以外にも,どこかにアンドロイドの中心的組織があって,そこがヨルハ計画などすべてを仕切っているはずなのだが,彼らが全く登場しないので,「真犯人が最後まで出てこない刑事ドラマ」を見せられたような気分になる。アンドロイド全体を統率しているエリート集団(?)を,ちらっとでもいいから見せるべきだった。
  • 物語の構造が全体的にまわりくどすぎるし,面白くない。月に人類がいます!という欺瞞を完成させてアンドロイドの戦意向上を図るというだけのためにバンカーを作り,ヨルハ部隊を作り,最後に(なぜか敵である機械生命体の力を借りて)全員抹殺するというのは無駄が多すぎるというか,動機として原始的な感じがする。最先端AIがそんな都市伝説みたいなものにだまされて戦意向上するんか~,というガッカリ感がすごい。そもそも人類健在というフェイクニュースを確立するためにどうしてヨルハを全滅させる必要があるのか不明。ヨルハは優秀なんだから地上に全員降ろして機械生命体と永遠に戦わせておけばいいだけの話。

なんかいろいろSF要素をありったけ詰め込みすぎている気がする。素材を半分くらいに減らしてもっとじっくり細部を詰めた方が完成度は高まったと思う。結論として,本作はアクションゲームとしては一級品だが,ストーリーは残念ながら大人の鑑賞には堪えない。以上。

 

追記: ルートBはルートAとほとんど同じで、退屈極まりなかった。あれをクリアしないとルートCに行けない点だけでもクソゲーと呼ぶに値する。

たたみこまなくていい

[2105.01601] MLP-Mixer: An all-MLP Architecture for Vision (arxiv.org)

Googleの今月の論文。たたみこみニューラルネットワークなんて使わずにただの多層パーセプトロンで画像認識できますよーという驚きの内容。アーキテクチャの工夫に苦労なんかしなくても単純なモデルを巨大化させるだけでよいというのは興味深い,・・・というか脳筋ですな。

パラメータが数億もあるようなモデルは学習させるだけでももはや個人や中小企業では手が届かない領域なので,再現性を誰がどうチェックするんだろうというモヤモヤは残る。

すとれす

職場の事情で私の仕事が年度途中にして一気に増えてしまった。理不尽。理不尽すぎる。どうして他の人と同じ給料で私だけノルマが多いのか!?ストレス爆発。

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画像は漫画「てんぷる」より引用。

てんぷる(1) (アフタヌーンKC) | 吉岡 公威 |本 | 通販 | Amazon

面白いので是非たくさんの人に読んでもらいたい。

コロナとか機械学習とか。

私は最近Pythonの時系列予測ライブラリ「Darts」に興味を持っていた。

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Time Series Made Easy in Python — darts documentation (unit8co.github.io)

そんなある日,コロナ陽性者数のデータが厚生労働省のウェブサイトからCSV形式で入手できることに気づいた。オープンデータ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

そこでコロナの将来予測をDartsで実装されているいろいろな機械学習モデルにやらせてみようと思ったのだ。

入手できるデータは2020/1/16~2021/5/6の合計477日間である。プロットすると以下のようになる。

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これをtraining dataとvalidation dataに分割することにした。具体的には,2021/2/1を境界としてデータを2つに分割した。training dataは以下のように,第3波が収束しはじめたあたり(2月1日)で終わっている。

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これにモデルをfitして,validation dataでの予測精度がよくなるようにhyperparameterをチューニングしていくわけだ。基本的な方針として,陽性者数の対数をとってモデルを学習し,予測結果のexpをとることで元のスケールに戻すことにした。

Dartsの色々なモデルを試してみたのだが,ARIMAやExponential Squeezing,RNN, GRU, Prophetなど大多数のモデルは全然結果がよくなかった。(Prophetはもっとできる子だと思っていたのだが残念。)たとえばTemporal Convolutional Networkの場合,

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このようにスムーズに感染が収束する結果となってしまい,第四波を再現することはできなかった。また,これとは逆に,Theta Methodの場合,下のように,ものすごい高さの新たなピークを予言するというおかしな結果になってしまった。

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ただ,N-BEATS, LSTM, Transformerの3つについては,そこそこそれっぽい結果が出たので,順に述べる。なおこれらは全てニューラルネットワーク系のモデルである。

まずN-BEATSの場合。

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5/6までの第四波のデータをよく再現できている。これは否が応でも期待が高まる。そこでもっと先まで予測させてみると,こうなる。

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何度も流行が発生するらしい。ふーん・・・。

次にLSTMの場合。Optunaを使い,かなり苦労してhyperparameterをチューニングした結果,どうにか第四波を再現できた。

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そこで,もっと先まで予測させてみたところ・・・,こうなった。

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先ほど同様に,何度も大流行が起きるという結果に。しかし毎回ピークの頂点から急にストーンと下がるところはかなり不自然だ。

最後に,Transformerの場合。

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うーん。のこぎり刃みたいな不自然な周期波形だ・・・。

というわけで,いずれも微妙に不自然な感じの結果となった。もちろん,ワクチン接種の効果,変異株の影響,緊急事態宣言の効果をいずれも無視しているので,とても原始的なモデルではあるのだが。

そもそもTemporal Convolutional Networkのように第四波を完全否定するモデルもあったわけである。それを今回却下したのは,最新データで第四波が起きているのを我々が知っていたからだが,もしその知識がなければ,第四波が来るのかどうか判断できなかったということになる(モデルによって異なる予測が出るから)。結局,AIというのは,ありうる未来の可能性(シナリオ)を何通りか描き出すのが精いっぱいであり,その中から一つを選ぶのは人間,ということなのだろう。

グーグルのコロナ予測AIはこれまで予測を大きく外しまくっているし,北大の感染症専門家の予測も大きく外れたことは世間の知るところだ。というわけで,未来はほぼ誰にも予測できないってことだな。うん。

太陽系

プラネット・ナイン - Wikipedia

Astronomers believe that Planet 9 may be a super-Earth, roughly 10 times  more massive than our planet, with a highly elongated… | Super earth,  Planets, Solar system

太陽系の海王星より遠くに第9惑星(Planet Nine)があるのではないかという学説があるが,いくら探してもいまだ誰も発見できていない。最近では,それは惑星ではなく小さなブラックホールなのではないかという説まで出ている。

What if Planet Nine is a baby black hole? | Live Science

そして小型宇宙船をそこまで飛ばして調べようという意見まで出ている。

[2004.14192] Searching for a Black Hole in the Outer Solar System (arxiv.org)

夢はある話かもしれないが,正直ちょっと信じるのは無理かなあと思う。

 

こないだ投稿した論文の査読結果が返ってきたのに放置していたら修正再投稿の締め切りが再来週に迫ってきた・・・。ううぅぅ。やる気がでない。

 

ドッグファイト!

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ゲームプレイAI が進化させる無人戦闘機群とAI軍拡競争の萌芽 | モリカトロンAIラボ (morikatron.ai)

アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)がここ数年開催していたAlphaDogfight Trialsというコンペティションが面白い。AIで戦闘機を制御してシミュレーション環境で戦わせるというもので,8つの企業や大学が参加して開催され,トップをとったのは小規模なIT企業Heron Systemsだったそうな。この会社のAIは人間のパイロット相手の勝負にも圧勝したというから,恐ろしい。巨大企業じゃなくてベンチャー企業にすごい技術がある,というのはいかにもアメリカっぽい。この会社,社員が30人くらいしかいないらしく,社長のNORRY DARCEYは女性だそうだがその写真も検索にヒットせず,ミステリアスである。(ちなみにイスラエル軍無人航空機もHeronというのだが関連は何かあるのだろうか。)なおヘロンは青サギ(鳥)という意味である。

AlphaDogfightの公式解説動画は公開されている。

AlphaDogfight Trials Final Event - YouTube

このコンペでHeron Systemsに次いで2位になったロッキードマーチン社のグループが自分たちのAIを論文にして昨日公開した。こういうの,公開していいのね・・・。

[2105.00990] Hierarchical Reinforcement Learning for Air-to-Air Combat (arxiv.org)

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この論文ではAI(強化学習)のアルゴリズムとしてSAC(Soft Actor-Critic)が使われている。報酬設計の部分には退役した元軍人の知見を取り入れたと書いてあるので,さすがにAIオンリーですべて作りあげるのは難しかったようだ。やはり人間の経験というのは大事らしい。この報酬というのが読んでいてなかなか面白い。敵機の背後をとったらプラスの報酬とか,近づきすぎたらマイナスの報酬とか。

 

日本もこういう技術をどんどん取り入れていかないと将来的に近隣諸国に安全保障で負けてしまう恐れがある。でも日本のIT業界は腐っているから,無理だろうな~~~。防衛庁三菱重工とか富士通に100億円で発注して,それが二次請けに50億円で委託され,10億円で三次請けに委託され,・・・を繰り返して,最後は小さいITベンチャーに1千万円くらいで発注されてそう。笑

神。

【都道府県別】人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移 (sapmed.ac.jp)

日本の都道府県でどうして島根県だけコロナの死者数がいまだにゼロなのだろうか?

出雲大社があるからかなあ。さすがは八百万の神の総本山だ・・・!!

古代出雲大社のイラスト