Quadrifolium's blog

元海外赴任サラリーマンの独り言です。

アメリカはコロナ収束?

米・加州のディズニー再開 待ちわびたファン歓喜- 名古屋テレビ【メ~テレ】 (nagoyatv.com)

 

カリフォルニアのディズニーランドが1年ぶりに再開とのこと。もうアメリカでコロナは落ち着いたのかな?と思って1日ごとの感染者数を見てみると,まだ第二波のピークくらい。収束したとは言えなさそうだが・・・。人口100万人あたりで見ると(人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【世界・国別】 (sapmed.ac.jp)),アメリカは日本の4倍くらい。そしてドイツやフランス,イタリアはもっと多い。それにしてもどうして中国ではこんなにコロナが少ないのか?誰か分析して欲しい。怪しすぎる。

 

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査読むり

面白いと思ったニュース:

「声が低い人は男女共に浮気する可能性が高い」という研究結果 - GIGAZINE

こういう研究は大事だと思うけど,実際に研究予算がつくのはすごいなと思う。

 

8年前くらいに投稿したことのあるジャーナルから査読依頼が来た。悩んだけど,もう今はそっちの分野の研究はしていないので断ることにした。それに論文自体が全然面白くないし・・・データに対して単なるパラメータフィッティングをしただけで,知見も何もない。こんなんacceptしたらあかんやん・・・と思って調べたら同じ著者らが似たような趣旨の論文を過去にもいろいろ書いてて,どれもまともなジャーナルに出版されていた。もうこの分野あかんやろ。

解説者と研究者は違う

ここ数年,「あれ?〇〇さんが△△△についての解説本を書いているな・・・でも〇〇さんって△△△について有名な研究成果ってほとんど出してないんじゃないの?」という出来事が少なくとも5回以上はあった。

そういう人に共通する特徴として,「人にしたり顔で教えるのが好き」「有名になりたがる(自己顕示欲が強い)」「自分の本来の専門分野ではパッとしないので,新しいトピックが近隣分野で流行の兆しを見せ始めるとすぐ飛びつく」「それをさも第一人者のように解説して,違う分野の人に名前を売る」という点が挙げられる。

最大限,好意的に解釈するなら,「教えるのが上手な人が難しい話題を易しく解説してくれるならそれでいいじゃないか。別にその人が研究者として独創的かどうかは気にしないよ」という立場もあるだろう。というかそういう立場の人が世の中には多い気がする。池上彰とか人気だし。ただ,私はそうではない。教科書や解説本を書くのなら,「自分自身で悪戦苦闘してオリジナリティのあるものを生みだす」という行為を経てきた人がいい,と思う。というか,そういう地道な努力を積んだ人にしか,本当に大事なエッセンスは理解できない,という自信がある。誰かが作ったものをサクサク素早く勉強して理解できることを「頭のよさ」と思っている人が多いが,それは違う。違うのだ。

海外の研究者なり企業が新しいAIツールや新しいプログラミングツールやライブラリを公開すると,すぐに「最新手法〇〇の使いこなし方を教えます」みたいなイージーなウェブサイトやら教科書やらが雨後の筍のごとくぞろぞろと出てくる。そういうのを見ていると,日本の科学技術のレベル低いなーーと思う。悲しくなってくる。正直,もう中国とかの方が日本よりだいぶ上だと思う。

AIの分野でも「最新AI技術を△△業界に初めて導入しました!」みたいな売り文句を振り回す人や会社はよくあるが,その手の輩はもともと△△業界では実は全然評価されていなかったりする。しかし外部から見るとそれがわからないので,「きっと△△業界では一流なんだろうな~」と思う人がたくさん出てくる。一方,△△業界においても「AIのことは私は全然わからないんだよな~~,AI導入なんてすごいんだろうな」と,その人や会社の評価が上がっていくことがある。つまり△△業界の内側・外側の双方において評価が上がるので,いいことずくめなのだ。(AIと△△の両方を深く理解している人があまりにも少ない,という点がキーポイントである。)

現代社会の諸問題はもはや狭い専門分野で扱える範囲を超えている,今こそ学際研究が必要だと叫ばれ始めて久しい。しかし実態はといえば,ある分野の知見を別の分野に輸入して再解釈するだけのような,生産性の乏しい研究者のたまり場になる傾向がある。残念なことだが,人を正しく評価するのはそれだけ難しいということなのだろう。

ヒドラ

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無脊椎動物ヒドラは脳を持たないにも関わらず「眠る」らしい。

A sleep-like state in Hydra unravels conserved sleep mechanisms during the evolutionary development of the central nervous system | Science Advances (sciencemag.org)

 

つまり進化の過程で,脳が発達するよりも早い時期に地球の生物は睡眠という行為を獲得したらしい。なお

「時計」を失った生物ヒドラの謎 | 九州大学 理学研究院 理学府 理学部 (kyushu-u.ac.jp)

によるとヒドラは時計遺伝子を持たないにも関わらず概日周期を示すらしい。わけわからん。

AIとか

AIの論文というのはどうも読んでいても楽しくない。何か本質的に新しいことができるようになったという研究はほとんどなくて,大体は人間にとって非常に自明なことを機械に代替させるための要素技術の開発の話だ。たとえば顔認識は人間にとってはごくごく簡単なことだが,AIでもできるようになったのは比較的最近だ。人間が簡単にできることを,機械がより正確かつより高速にできるのは便利だと思うが,感銘は受けない。サイエンスでの「発見」であれば,これまでにない事実がわかって,本当の意味で感銘を受けるのだが,AIというのはそういう新しさがないので,どうしても興奮しない。機械がミスなく手書き文字を認識してるのはすごいけど,だから・・・何?と思ってしまう。

人工ニューラルネットワークはすごいという宣伝文句が世間を一時期賑わせていたが,あれも人間の脳に比べればオモチャみたいなものである。人工ニューラルネットワークは脳のニューロン同士が作っているネットワークをいわば模写したものだが,脳の方がもっとずっと複雑だ。そもそも人間の脳にはニューロン以上に大量のグリア細胞があって,それが大切な役割を果たしていると言われているが,グリアは人工ニューラルネットワークでは完全に無視されている。

最新技術に期待をしすぎるのはよくない。どう頑張っても,人のつくったアルゴリズムはNP困難な問題に対してはしょせん手も足も出ないのである。しかし人の脳はもっとすごい。超巨大な素数を次々と口にするイディオ・サバンの兄弟についてオリバーサックスが本に書いている。インドの数学者ラマヌジャンは現代数学でも解明できないような不思議な数学公式を次々と直感的に発見したことで有名だ。人間にはNPの壁を破る謎の力がある。だから人の精神は偉大なのだ。我々は最新技術の宣伝に惑わされることなく,もっと謙虚にならなければならない。

いろいろ

Physics - How Talking Spreads Viruses (aps.org)

普通に話すだけでも咳やくしゃみと同じくらい飛沫が飛ぶという報告。単に咳やくしゃみを抑えるだけではウィルス感染を防ぐことはできないらしい。

 

Physics - Wormholes Open for Transport (aps.org)

人がくぐれるようなワームホールが宇宙には存在するかもしれないという理論研究。真面目な論文。

 

[2104.11455] Birds of a Feather Flock Together: A Close Look at Cooperation Emergence via Multi-Agent RL (arxiv.org)

社会に存在する協力関係がどのように誕生したかを人工知能強化学習)で研究した論文。利他的動機だけでは人間関係に愛憎の振動が生じて不安定になるが,似たもの同士が集う効果(homophily)を考慮に入れると安定した協力関係が維持できるとのこと。なお,タイトルのBirds of a feather flock togetherは英語のことわざで「類は友を呼ぶ」と同じ意味。