Quadrifolium's blog

海外赴任サラリーマンの独り言です。

スキル

どこぞの企業の雇われ社長が45歳定年とか急に言い出して物議を醸したようで。呆れた。その発言をした本人を含め,一般に会社の経営層はシニアばっかりなのに自分たちはいつまでも引退しようとせず,若手を搾取しようとするのは闇が深いとしか言いようがない。

 

日本の行く末についていろいろ考えさせられた。

同じことを繰り返すルーチンワーカーの仕事は誰でも代替可能なので低賃金なのは当然で,どんどん新しいことを学んで身につけられる人材こそ高給に値する,という説もあるが,世の中そんなに単純でもない。医者の,特に開業医の一部は,新しい治療法を学ぶでもなく昔の知識をもとにルーチンを繰り返しているだけであって,たまに難しい病気の患者が来たら紹介状を書いて大学病院にポーーイ,である。でも彼らは年収二千万とかだから闇が深い。逆にITエンジニアなどは次から次へとアメリカ発の新技術や新サービスが出てくるので毎日勉強が欠かせないが,納期に追われるブラックな職場が多く,その給料も高いとはとても言えない。

会社にしがみつかない生き方を,とよく言う。そのためには食っていけるだけのスキルを身につけよ,とも言う。しかしこれには少なくとも2つの問題がある。1つは,世の中のたいがいの仕事のスキルはゼロからスタートしても5年も働けば身につくようなもの,という話。「身につけるのが困難で,身についたら本当にそれだけで食っていけるようなスキル」はすんごく少ないし,そういうスキルを必要とする職場もめちゃくちゃ少ないので,求人が少ない。もう1つの問題は,たとえスキルがあってもそれを可視化するのが難しいということだ。仮に営業畑で長いキャリアを歩んできた人が自分の営業スキルに自信を持っていたとしても,それを客観的に他社の人間に証明する手段がない。目に見えるものじゃないし,テストで測定できるものでもない。過去の実績だって嘘かもしれないし。百歩譲って,仮に過去の実績を本人の言そのままに信じたとしても,それが本人の内的な能力によるものかは決してわからない。単にその会社の商材が高く評価されていて客から引く手あまただっただけかもしれないし,本人が美人だから客が寄ってきただけかもしれないしね。

 

それと,45歳定年にまつわる議論の中で,賃金や雇い方をめぐっての話では3つの論点を別々に議論すべきだ。

まず,「年齢とともに賃金は上昇していくべきか否か」。これは正直,今後の衰退していく日本で維持するのは無理なのかなという気がする。同じ仕事内容を続けるのであれば,賃金は大幅には増えない,というのは止むをえないだろう。

次に,「解雇をより容易にして人材市場を流動化させるべきか否か」。これは解雇しやすくする方向にしたい経営者が多いだろうが,私からすると次の二択にするしかないと思う:「いつ首を切られるかわからないが,成果給で平均賃金より高い年俸をもらえる」(野球選手のように),もしくは「雇用が保証されているが賃金はふつう」。今の派遣会社がやってるのは「給料がめちゃくちゃ安くてなおかつ首きり放題」だから,もうどうしようもない。

3つ目は「組織内の格差をどこまで許容するか」。アメリカだと役員が100億円以上も報酬をもらう一方で一般社員は低賃金だったりする。日本だと,会社にもよるが大企業でも社長の年俸はせいぜい数億円。そのくらいのままであってほしいというのが私の願いだ。どんなに社長が優秀な経営者であっても100億円なんて正直,許せんわ。だって普段の業務を全部実行して,商材なりサービスを作って顧客に提供してるのは下々の社員たちだからね。

 

日本企業に絶望した優秀な知り合いたちは外資系企業に転職して高給をもらっている。彼らが何をやってるかというと,日系企業つぶし。つまり日系企業から客をもぎとっていく。彼ら自身も日本人だから,外国人の犬になって働くのは内心思うところもきっとあるはずなのだが,それ以上に金銭的インセンティブや働き方のミスマッチが大きいのだろう。日本人が日系企業を苦しめているのを見るのは正直嫌な気持ちだ。共食いを見ているようだ。

 

今日はまとまりのない文章になってしまった。